何度も行きたくなる、大好きな宿がある。
何かに行き詰まったらふと深呼吸したくなるように、時々無性に行きたくなって、ゆっくりと時間を過ごす場所が私にはあります。
今回はその、私にとって大切な場所をご紹介します。北欧家具好きにはたまらない空間です。
フィン・ユールの家具と過ごせる場所
フィン・ユール(FInn Juhl)という名前を聞いたことはありでしょうか?北欧家具好きならばご存じでしょうし、そうでない方も、もしかしたら一度は名前を耳にしたことがあるかもしれません。
そう、ご紹介する私の大好きな宿は、そのフィン・ユールの家具と過ごせる宿なのです。宿には家具があるものだし、「フィン・ユールの家具と過ごす」ってそんなに改めて言うことなの?と思った方に向けて、まずはフィン・ユールの紹介を簡単に。
フィン・ユール(Finn Juhl)とは?
フィン・ユールはデンマークの建築家・家具デザイナーで、Yチェアをデザインしたハンス・J・ウェグナーと同時期、デンマーク家具の黄金期(1940年代〜60年代)に活躍した人物です。
当時の建築家は、自分が設計した建築に自分がデザインした家具を入れるということが当たり前だったため、建築家で家具デザイナーということは珍しくないこと。フィン・ユールもその一人ですね。
彫刻のような家具
彼の家具は「まるで彫刻のよう」と言われます。それほどまでにディテールが美しく、造形が複雑なのです。北欧家具好きとしては、フィン・ユールの家具は憧れ。なんてったって彫刻と言われるだけあって、簡単には手が届かないから…。ダイニングチェアで1脚20万円以上、ソファで150万円はくだりません。
私にとってもフィン・ユールの家具は永遠の憧れ。いつか家にお迎えすることは、実現したい夢の1つです…!
宿との出会い
そんな憧れの家具と過ごせる場所があると知ったのは、もう4年以上前のこと。何をきっかけに知ったかはもう忘れてしまいましたが、そんな場所があるならば絶対に行きたい!と、2018年の7月に初めて訪れました。
その場所こそ、私の日本で1番好きな宿と言っても過言ではない、長野県白馬村にある「HOUSE OF FINN JUHL HAKUBA」です。
大好きすぎて、先日も通算3回目の滞在。前回も今回も3泊のロングステイで、フィン・ユールの世界にどっぷりと浸ってきました。
過ごせるショールーム
フィン・ユールの家具はフィン・ユールが生きていた当時に製作されたヴィンテージ品と、デンマークの家具メーカー「ONE COLLECTION(ワンコレクション)」が復刻製作している現行品の2種類が存在します。
ハウス・オブ・フィンユール白馬はそのワンコレクションが運営する宿。客室6室含む、ラウンジなど全ての家具はフィン・ユールがデザインし、ワンコレクションが復刻製作しているものです。
そこはまさに、「過ごせるショールーム」。1つ1つの家具は一生使えるものであるからこそ、実際に使ってみてその良さを体感してもらいたい、というのがこの宿のコンセプトです。
長時間使ってみて、その良さが分かる
ショールームでは少しの間座ってみて、座り心地や感覚を確かめて終わり。でも実際には長時間使ってみないとわからないことが多く、ましてはソファに足を上げたり、くつろいだりすることなんて、ショールームではできません。
「家のようなくつろぎを、積極的にやってみてください」というのがこの宿の最大の良さ。なぜならフィン・ユールの家具は、「人がくつろぐこと」を前提にデザインされているからなのです。
初めて宿泊した部屋に飾ってあった写真。フィン・ユール自身がデザインしたアイコン的なチェア、チーフティンチェアに座って…いや、くつろいでいます。
光の反射で足元が見にくいですが、アーム部分に脚を乗せ、完全にくつろいでいます(笑)
私もそれに習って同じ姿勢でくつろいでみたところ、それはもう、格別に心地よかったです。
手前がチーフティンチェア。チーフティンは族長という意味です。
このチェアに限らず、フィン・ユールは「人が座りながら姿勢を変えること」を想定して家具をデザインしています。これはショールームや写真で見ているだけではわからなかったこと。ここに来て過ごしてみて初めて、その本当の良さを体感できたのです。
ペンションを改装した、洗練された空間
建物は70年代に建てられたペンションを、フィン・ユールの家具が引き立つような、華美すぎない洗練された空間に改装しています。白く塗られた壁、黒い梁、白木の床。フィン・ユールの家具とアイテムに合わせられた、和を感じさせる小物たち。全てが調和している、唯一無二の心地よい空間です。
メインラウンジ。日中にはここで本を読んだり、ただぼーっとしたり。
開けるのが楽しくなる、カラフルな引き出し。脚も犬みたいでかわいらしい。
ダイニングスペース。朝食はビュッフェで、ここでいただきます。
客室にはメインとなる家具が1つあり、その家具の名前が部屋の名前になっています。
ここは、Poet Sofa(ポエトソファ)が置かれたPoet Room。
ラウンジスペースがいくつかあり、ラウンジで過ごす時間が自然と長くなります。 ラウンジは夜にはバーに変身。宿泊者同士で話しながら交流ができるのも、この宿の良さの1つ。
早くコロナが落ち着いて、元のように交流の輪が広がる場になってほしいものです。
まとめ
いかがでしたか?北欧家具、なかでもフィン・ユール好きには、間違いなく心地よい時間を過ごせる最高の場所です。
これからの白馬は緑が美しい季節。ぜひ足を運んでみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。