フィン・ユールの家具に出会ってから一度は訪れてみたいと思っていた、デンマークにあるフィン・ユール邸。実際に彼が住んでいた場所に、デンマーク滞在中に足を運んできました。
建築家である彼自身がデザイン設計し1942年(当時フィン・ユール30歳)に完成したその家は、今でもデンマークで最も機能的に設計された、シングルファミリー向けの住宅として知られています。1989年に亡くなるまで、ずっとここで暮らしていたそうです。
コペンハーゲンの中心部から車で約30分、静かな森の中に佇むフィン・ユール邸。今は隣接する美術館が管轄して、中を見学できるようになっています。 イエローとブルーに塗られたエントランス。ここでチケットを確認されます。チケットは隣の美術館で購入。「日本から来た」と言うと、お姉さんが日本語で挨拶してくれました。日本の文化に興味があるようで、少し日本語を勉強したのだとか。北欧では「日本から来た」と言うと多くの人が嬉しそうに、「日本は一度行ってみたい国なんだよね」と何度も言ってくれました。海外に来て、日本人であることに嬉しさを感じ、誇りを持てるようになったなぁと。日本にいると感じる機会はあまりなかったから。…と、話は外れましたが、早速中へ。
中に足を踏み入れると、そこには本で何度も目にして体感したいと思っていた空間が広がっていました。仕切りのない広い空間は、ここで多くの時間を過ごしていたことを思わせます。
この住宅の魅力の一つは、差し込む自然光と窓からの借景。暗く長い冬を過ごすデンマークでは、自然光は本当に自然の恵み。かけられた白いレースカーテンは、夏の強い日差しをまろやかに部屋に取り込むためのもの。普段は開けて、美しい自然風景を楽しんでいたように思います。
ポエトソファにチーフティンチェア、私の中で3本指に入る家具2つの組み合わせ。ポエトソファの上に飾られている女性は、フィン・ユールの妻Hanneのポートレートです。妻の絵をリビングに飾るなんて素敵!
このグレーの貼り地のFJ45、腰が包まれる感じとアームの滑らかさがたまらないんですよね。横にはFJ44(少し切れてしまっていますが)、この家具も彼の家具が彫刻と言われる所以を感じることができます。
壁はほぼ全て白で装飾はなく、シンプル。そこに彫刻と言われるフィン・ユールの家具とアートが美しく配置されていました。デコレーションも華美すぎず。世界各地を回った際に持ち帰ってきたのかと思われる装飾品が目につきます。あ、左端にFJ44が写っていました。
白を基調としつつも、壁や天井にはところどころにアクセントカラーが。デンマーク人はテイストやカラーをミックスするのが上手。その美的感覚を、ここでもひしひしと感じました。
こちらは書斎。チェアはその名も”Office Chair”。壁のポスターや写真たちが、彼と家の歴史を感じさせます。
パンフレットもまた素敵で。置いてある家具とアートの詳細が細かく書かれています。フィン・ユールの描いたパースはどれも美しい水彩画なのですが、この平面図もそうなのかなと思わせるタッチ。知っている家具もそうでないものも、パンフレットと見比べながら家具を知るプロセスも楽しめました。
公式ホームページはこちらから。デンマーク語ですが、美しいフィン・ユール邸の写真や美術館の様子をご覧いただけます。Finn Juhl Hus
現在フィン・ユールの家具は復刻製作されているものと、ヴィンテージ品の2種類があります。こちらで展示されているものは、もちろん当時彼が使用していたヴィンテージ品。そのため実際に家具に座って触れることはできませんが、この空間はフィン・ユール好きの方はもちろん、北欧インテリア好きの方にはぜひおすすめしたい場所。デンマークを訪れた際には、足を運んでみてください。
ちなみに国内で家具を体感できる場所はこちらの記事で紹介しています。
お読みいただき、ありがとうございました!