北欧の暮らし

日本と真逆?スウェーデンのクリスマス

スウェーデンで過ごした、2回目のクリスマスと年越し。スウェーデンは宗教色は強くないものの、多くの国民がキリスト教。クリスマスは一年の内で大切なイベントの一つです。スウェーデンならではのちょっとユニークなクリスマスの過ごし方+年越しを、今日はご紹介します。

遊園地がクリスマスマーケットに

クリスマスといえば、クリスマスマーケット。ここスウェーデンにももちろんあります。スウェーデン第二の都市ヨーテボリには”リザベル”というスウェーデンで一番大きな遊園地があり、クリスマスシーズンはクリスマス一色に彩られます。そこではクリスマスマーケットが開かれていて、ヨーテボリのクリスマスのシンボルです。2023年のクリスマスマーケットは11/18から1/7まで。例年11月の中旬から1月の1週目頃まで開催されています。たくさんのイルミネーションやくるみ割り人形のモニュメントなど、クリスマス気分が一気に高まります!クリスマスシーズンにスウェーデンを訪れるならば、リザベルのクリスマスマーケットはマスト。クリスマスフードやドリンクはもちろん、手袋や帽子など、クリスマスギフトもたくさん並んでいます。

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美しい歌声で聖なる日を祝う

12月13日。日の出前に眠い目を擦りながらテレビをつけます。それは、キリスト教の聖人聖ルチアの聖人祝日で、夏至祭と並んでスウェーデンで最も重要な文化的な伝統行事が行われるため。ルチアは古代ギリシャ神話上の人物で、スウェーデンの暗い冬に光をもたらす者とされてきました。教会に聖歌隊が集まり、毎年一人選ばれる”ルチア”に扮した女の子を囲み、クリスマスの歌を歌います。光をもたらす者というように、ルチアの頭には蝋燭が立てられ(昔は本物の蝋燭を立てていましたが、今はバッテリーのものを使うことも増えてきたようです)、教会も蝋燭の優しい明かりに包まれる。穏やかな明かりと美しい歌声はとても幻想的で、紛れもなくクリスマスの訪れを知らせてくれます。

伝統的なルチアのお祝い. Photo: Cecilia Larsson Lantz/imagebank.sweden.se

クリスマスのイベントは23日から

スウェーデンのクリスマスは決まってクリスマスイブに、家族で揃ってお祝いします。クリスマス当日(25日)よりも、イブの24日が大切なのだそう。その24日に向け、23日からイベントが始まります。そして23日はビンゴの日。100kr(1400円程)でビンゴ台紙を購入し、23日の夕方からビンゴが始まります。ビンゴになると賞金の他、テレビのスタジオに電話をする権利が。うまく繋がれば、車を含む豪華景品が当たるチャンスが得られます。5回戦のビンゴの合間にはアーティストによるパフォーマンスやクリスマスクッキングなど、内容は盛りだくさん。23日はテレビの前に家族で集まりビンゴに参加するのが、スウェーデンのクリスマスの始まりです。このビンゴの景品が本当に豪華で、初めて参加した時は”こんなにもらえるの〜!”と驚いたのですが、当たる確率はスウェーデン中の人の中からわずか5人。。確率はとてもとても低いですが、いつも惜しいところまで行くようにうまいことできているので、わくわくドキドキを味わえます。

クリスマスイブは家族揃ってクリスマスディナー

国によってクリスマスメニューは異なりますが、スウェーデンのクリスマスのメインはポークハム。スーパーですでに味のついたハムの塊を買い、家でパン粉をつけて焼き上げます。

このハム、塩気が効いていますがサクッとした衣が香ばしく、美味しい。その他には、ミートボール(スウェーデンの定番)、ソーセージ、ビーツサラダ、ゆで卵、ケールのサラダ、芽キャベツのソテー、ニシンの酢漬け、そしてヤンソンの誘惑など。ヤンソンの誘惑はご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、じゃがいもと玉ねぎとホワイトソースを合わせたポテトグラタンに、アンチョビを加えたもの。シンプルな材料ながらクセになる美味しさで、クリスマスには欠かせません。スウェーデンではできあいのものが売られていますが、レシピも簡単に見つかるので、今度はぜひ自分で作ってみたい一品です。

ヤンソンの誘惑. Photo: OTW/ imagebank.sweden.se

クリスマスイブはドナルドと共に

クリスマスイブのイベントは、ドナルド。そう、あのディズニーのドナルドダックです。スウェーデンの午後3時、多くの人は何をしているか、おおよそ予想がつくと言われているほど、クリスマスになくてはならないイベント。それはテレビで放映される、ディズニーのプログラムを観ること。1960年から続くスウェーデンのクリスマスの伝統で、近年でもこの番組の視聴率は年間の3本指に入る高視聴率だそうです。世代問わず、クリスマスイブにはテレビの前に集まってディズニーを観る。…ちょっと不思議ですよね。
番組はいくつかのストーリーを部分的に切り取って編集したもので、1時間の内の約半分は毎年全く同じ内容。よくも飽きずに同じものを観続けられるなぁ…と思いつつ、スウェーデン人に言わせると「これを観ないとクリスマスという感じがしないんだよね〜」だそうです(笑) でも確かに、ディズニーのアニメーションは何度観てもいいですし、飽きは来ませんよね。ちなみに残りの半分は新作を少しずつ編集して合わせたもの。1960年の放映当時はテレビの放送局は2つしかなく、クリスマスイブの日のみディズニーの番組を地上波で見ることができたそう。想像以上の視聴率を獲得し、その後も継続して放送することになったようです。そしてこのテレビ番組を、なぜかディズニーでもミッキーでもなく、”ドナルドダックのクリスマス”と呼ぶのです。調べてみましたが、どうしてドナルドなのかは分からず…ともあれ、これがスウェーデン独自のクリスマスの伝統です。シンデレラや白雪姫など懐かしい映画の一部分も見られ、とても懐かしい気持ちになりました。ディズニーは永遠ですね。

年越しは友達同士で

クリスマスが家族行事である分、年越しは友達やカップルで過ごすのが一般的。お祝いの仕方は様々ですが、私は友人達の持ち寄りパーティーに参加し、みんなでゆっくり食事をしながら、一年の振り返りを写真を見せ合いながら行いました。それぞれウェルカムスナック・前菜・メイン・デザートと役割が決まっていて、私はウェルカムスナックとして春巻きを持参しました。ハムチーズ春巻きとナス・アンチョビ春巻き。写真は撮らなかったのですが、とても好評で安堵しました。なんせ他の方々の料理が本格的で…日本食を作るたびに、口に合うか不安になるのですが、美味しいとみんな食べてくれるので嬉しいです。日本食はボーダーレスです。

そして年越しの瞬間は花火で!至る所で花火の音が聞こえ、花火とともにシャンパンでお祝いです。日本のゆく年くる年とはだいぶ雰囲気が違います。(笑)

クリスマスもニューイヤーもイブが大切なスウェーデン。ニューイヤーイブにたくさん食べてお酒を飲むため、元旦はみんなやる気喪失気味。そのため1日はピザの日だそうで、多くの人がピザ屋にピザを買いに行きます。ほとんどのお店がお休みの中、ピザ屋は一年のうちで一番忙しい日なのだそう。日本の伝統を考えると”元日にピザ?!”となんだか笑っちゃいますが、日本もクリスマスはケンタッキーですからね。似たようなものか、と腑に落ちました。(ちがうか)

クリスマスは日本のお正月

クリスマスは日本のお正月のようなもの。日本が家族揃ってお正月料理を食べながら年越しや年明けを過ごすように、スウェーデンではクリスマスディナーに向けてたくさん料理を作り、クリスマスからその後数日はクリスマス料理の残りを食べ続けます。日本はクリスマス文化を外から取り入れただけあって、お祝いをする日もカレンダーに合わせてフレキシブルですし、食べるものも様々ですが、キリスト教の国を訪れると、いかにクリスマスが大切なものであるかを感じます。とはいえスウェーデンは先述の通り宗教色は強くないので、クリスマスに教会に行かない人が多いですし、キリストのお祝いというよりも、”家族で過ごす大切な日”であると感じています。そこもなんだか日本のお正月と近い気がして。

クリスマスのデコレーションやライトアップは1/13まで続きます。これは17世紀以降、スウェーデンがクリスマス後20日間引き続きお祝いをしていたことに由来していて、家中のクリスマスデコレーションはこの日を境に片づけられます。クリスマスの明かりに彩られていた街も、暗い冬に逆戻り。春の訪れまで、辛抱強く冬を耐え抜きます。暗く長い冬ですが、クリスマスがあるから乗り越えられる。そんな気さえするくらい、クリスマスに彩られた街、家々は本当に素敵で。クリスマス本番は日本のお休みとは重なりませんが、その後も1月の頭まではクリスマスを味わえます。ぜひ一度、北欧のクリスマスを訪れてみてはいかがでしょうか?

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

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