北欧人は堅実。
みなさんは北欧の暮らしや北欧の人々について、どんなイメージをお持ちでしょうか?私は素敵なインテリアに囲まれて暮らしている北欧の人々のイメージが非常に強く、実際の生活がどのようなものであるか、いまいち想像したことがありませんでした。それを知るために北欧に来たわけですが。スウェーデンに来てから北欧の人々のリアルな生活に触れ、日々の生活の至る所で、北欧人の堅実さを垣間見ています。最近、こちらでできた友人にも、「日本との大きな違いは何?」と聞かれることも度々あり、私なりに考えてみた北欧での生活で感じた日本との違いについて、今日は書いていこうと思います。
外食はほぼしない。家ご飯が基本。
まず第一は外食の少なさ。レストランは中心部にもちろんたくさんありますが、家で食事をするのが基本。特に家族がいるのであればなおさらです。早速ですが、先日のエピソードをご紹介します。
とある展示会に誘われ、18時から2時間ほど会場内を歩き回りました。会場は中心部近くだったので、そのまま夜ご飯も行くのかなと思いきや、そのまま友人を車で送り届けて帰宅。日本だったら絶対にそのままご飯行きましょう、となるところがちゃんと家に帰り、家ご飯。簡単に外で済ませちゃおう、という感覚がおそらくないんでしょうね。無駄なお金はかけない、堅実さを感じました。
ですが、外食をするときは思いっきり楽しむ。家族の記念日にディナーを楽しんだり、友人同士でレストランを予約して、ペアリングメニューを楽しんだり。オンオフが上手です。
せっかくなのでこちらのレストランもご紹介しますね。
カフェはFikaを楽しむ場所
カフェはありますが、日本のようにカフェで仕事や勉強をしている人はあまりに見かけず、友人とFika(スウェーデン語でコーヒーとケーキタイムを意味する言葉)を楽しむためにカフェに行くのがスウェーデン流。もちろんそうでない場合もありますが、日本と比べるとお一人さまカフェ率は確実に低いです。東京にいた時はたまにの贅沢で一人カフェをしていましたが、その”たまに”でさえ、こちらの感覚だとかなり頻度が高かったように感じます。
ちなみにカフェのクオリティは日本が上…!豆の違いもありますが、例えばカフェラテをお店で注文してもなんだか薄いんですよね。おそらくこちらはそもそも牛乳が日本と比べて薄く、低脂肪乳のようなさらっとしているため、濃ゆ〜いカフェラテに慣れ親しんでいる日本人からすると物足りなさを感じるのだと思います。価格は日本のカフェ価格と同じくらいで1杯600円くらい。北欧人の堅実さを見習って(ラテを頼むたびにあまり満足できていないという理由も相まって)、こちらで生活している約半年の中で3回しかカフェに行っていません。”北欧でカフェ巡り”という素敵な生活と現実はかけ離れています。笑
でもカフェで過ごす時間はちょっと特別感があって、気分が良いものですよね。雰囲気の良いカフェはいくつか教えてもらったので、機会を見つけてゆっくり回ってみたいです。
充実していないサービス。”基本的に自分でやる”マインドセット
こちらで生活を始めて、日本での暮らしはいかに多種多様なサービスに囲まれていたかを実感しています。こちらでは「基本的に自分でやる」。北欧は日本に比べて労働時間が短く、プライベートをしっかり確保して暮らしているように感じますが、実は、家でやる事や生活に費やさなくてはいけない時間は、日本よりも多いように感じます。思いついた例をいくつか。
郵便の配達は週3日。荷物はどこかに取りに行く。
郵便の配達は月水金の3日のみ。というのも、郵便が届くことはあまりなく、請求書や役所からの書類などは全てメールで届きます。「日本は土曜日も配達があるし、日曜日もポストの集荷をしている」と言うと、「そこまでサービスをしていたら人口が足りない」と言われました。考えてみると、確かにそうです。スウェーデンの人口は1,045万人。日本は1億2450万人なので10倍以上。サービス産業が発達するのも納得です。みんな仕事が必要ですから。
荷物の配達も、多くの荷物は家の近くのピックアップポイント(多くの場合スーパーやコンビニ)に届き、そこまで取りに行きます。それも一番近くて2km先。5km以上離れている場合もあり、車があることが前提です。市内中心部に住んでいれば別ですが。家に届く場合も置き配は普通で、家にいてもチャイムを鳴らされないこともあります。ヤマト宅急便を思い出しては、なんて素晴らしいサービスだったのだろう…としみじみ。こちらの配達業者は集荷は基本的にしませんし、自分でどこかに持っていく。伝票も自分で印刷しなければいけない場合もあります。全ては自己責任。人口の少なさを、一人がやることの量で賄っているのだと思います。初めは”自分で荷物取りにいくの⁈”と思いましたが、慣れてしまえばこれが当たり前。ましてや日本のサービスが過剰で、それが従業員の過剰労働、激務に繋がるのかもとまで考えることもあります。どちらがいい、悪い、ではありませんが、その国ごとのシステムに順応することが、生活する上では大切なことですね。
引越しも粗大ゴミ処理はトレーラーで
日本では多くの人が引越しをする時、引越し会社に依頼するかと思います。引越し貧乏…なんで言葉があるくらい。こちらは引越しももちろん”自分で”です。スーパーマーケットなどにトレーラーが置いてあり、これらは無料もしくは予約をした際は有料で、借りることができます。このトレーラーに家具やら何やらを全て積み込み、自家用車で牽引して引越し。家族や友達が手伝って総出でやることが多いようです。時には何往復かしながらも、意地でも自分で。自分たちで。笑
粗大ゴミ処理も同じ原理で自分達でリサイクルセンターまで持ち込みます。粗大ゴミ、というより、基本的に全てリサイクルに回されるそうです。多くの人がコンテナに次々と不用品を投げ込んでいるので、どこまでリサイクルされているのかは疑問ですが…この処理費用も全て税金で賄われていて、年に何回来ても無料。運び込む手間と労力は必要ですが、無料はすごい。先日は家を売却する友人の不用品処理を手伝い、トレーラーいっぱいの家具等を運び込みました。
自分達でやることが多い分、家族や友人が手伝いに来てくれる距離にいる。こういう協力関係はいいですよね。味噌汁の冷めない距離、ではないですが、何かあった時に助けてもらえる人たちがそばにいるから、この生活が成り立っているんだなと感じます。
植木の剪定、家の修理も自分の手で
日本だと植木の剪定は植木屋さんに年に一度お願いする、という家庭が多いのではと思いますが、こちらに来てから、一般家庭に植木屋さんが来ているところを見たことがありません。植木のカットも庭いじりの一部、という感覚で、本格的な電動の植木カッターで勇ましく植木をカットしている姿を、この夏はよく見かけました。田舎に行くと木を切り倒すチェーンソーまで持っていることも。木を切り、薪を作り、暖炉で暖を取る、という暮らしが当たり前に行われているんですよね。
思ったことは、自分達でやることが多い分、本格的な機械を多くの人が持っているということ。設備に投資し、作業は自分の手で。これが基本的な考え方のようです。
私は今まで「家に何かトラブルが起きたら、まずは修理サービスに電話!」がセオリーの世の中で生きてきましたが、パイプの詰まりや電気の不具合など、これも全て自分で直す。パーツなどを販売しているショップもいくつかあるとはいえ、よくやり方を知っているよな…と感心します。トイレの交換も自分でやったと聞いたときには本当に驚きました。日本であれば修理屋にお願いすれば翌日には来てくれる場合は多いように思いますが、こちらではそもそもお願いする人が少ないからか、修理屋も少ない。もしお願いするとなると、かなり時間がかかると言います。必然的に自分でやらざるを得ない状況にあるから、できることの幅が広がっていくのかもしれませんね。
まとめ
社会福祉が充実していて幸福度が高い北欧のイメージですが、その裏で、暮らしに身近なサービスは実は(日本と比べると)充実していない。日本で当たり前に手が届いていたサービスが、実はとても充実した生活の一部だったことに、こちらに来てから気付かされました。
SNSで投稿している素敵な一面だけではない、意外な北欧生活のリアル、少しはお伝えできたでしょうか?自分達でやることが多いとはいえ、それを苦に思っていない、むしろ楽しんでやっている一面も、常に感じています。自分でやることが当たり前だからこそ、苦に思わないのかもしれませんが。ともあれ、どこで暮らしていようとも、暮らしを楽しむこと。そして「ないこと」を嘆くのではなく、「あること」に気づくことが、大切だと感じています。
本日もお読みいただき、ありがとうございました!