3年前にリノベーションした実家。地元の工務店と協力しながら、私もインテリアデザインを担って完成させました。実は2ヶ月ほど前に母が足を骨折し、しばらく車椅子での生活を送っています。リノベーションでほぼバリアフリーにしていたお陰で、車椅子生活になっても家での移動はかなり楽にできていたようですが、母から家での生活を聞き、私も新たな気づきがいくつもありまして。
高齢者のいるご家庭や、年齢を重ねることを見据えてのリノベーションやリフォームだと、一般的なデザインリノベーションとは気を付ける点が変わってきますよね。実際に不自由な生活になると、打ち合わせをしていた時には”バリアフリー”という点ではデザインしていなかった部分も実はバリアフリーだったり、逆に「こうしておいたほうがよかったなぁ」と思うこともあったり。
今日は今回の件で気づいた点を、よかった点と反省点としてまとめていきたいと思います。
家での生活
車椅子は家の中(1階)のみ。2階への移動や外出時は松葉杖でした。今はだいぶよくなってきたので車椅子での時間はだんだんと短くなってきたものの、もちろん怪我をしたばかりの頃は車椅子移動必須。
車椅子は一番コンパクトなサイズで、4輪タイプを使用しています。車椅子のサイズは通過できる扉のサイズにも関わってきますね。
よかった点
1階は段差なしのバリアフリー
床の段差はゼロ、扉も全て上吊り戸にして細かい段差は一切なくしました。おかげで車椅子でもなんなく移動ができています。
引き戸が多く、車椅子でも通りやすい
1階は全て引き戸に。2階は開戸がありますが、松葉杖だと開閉時にバランスが取りにくく、外出先では人に開けてもらっていたそうです。
引き戸にしておいてよかったなぁと感じていますが、正直なところ開戸のほうが輸入建具も含めてデザインは豊富。個人的には開戸が好きですが、リノベーションの目的によって使い分けることは大切です。
よく通るLDの入り口・キッチン⇄洗面の入り口は扉なし
引き戸は開けやすいとはいえ、扉がないほうが移動はもちろん楽ちん。”室内の温度を均一に保つ”という意味で扉は必要最低限にしましたが、結果、導線確保という役割も。
室内の温度を均一に保つ:かつては扉で各部屋を仕切っていたため、冬の玄関は極寒…。気温差は体に負担をかけるため、なるべく家全体が均一な温度になるように設計しました。
トイレの蓋はオート開閉
トイレの蓋を開けるという行為も、松葉杖だとけっこう辛いみたいで…。1階のトイレは全自動にしておいてよかったです。
トイレはTOTOネオレストAHタイプを使用しています。グレーカラーとすっきりしたデザインが◎
車椅子が通れる最小寸法は63cm
一番コンパクトな車椅子でギリギリ通れるのがこの寸法だったそう。これは知らなかったなぁ…ぎりぎりなので、急いで通るとタイヤがぶつかってしまうそうです。インテリアの教科書的に言うと85cm〜90cm確保するように言われていますが、80cmあればおおよそは大丈夫そう。
玄関ホールの扉を斜めに
開放感を重視してのデザインでしたが、広いスペースには車椅子を置いても扉が閉まります。車椅子を置くには、奥行き150cmあると余裕がありました。
反省点
手すり下地を入れる
将来的に手すりをつけられるように、玄関や洗面など、必要な位置に壁下地を入れるべきでした。どうして思いつかなかったのか…まさかこんなに早く手すりが必要になるとは、、
柱位置を狙ってつけられますが、欲しい場所に確実につけるには下地が必要です。
扉下枠を外す
リノベーションの際に、トイレの扉は既存のものを再利用。(予算の関係です)
1階は建具枠を作り直したのですが、2階は枠も利用したため、下枠が床から出る状態に…これをまたぐのが大変だったよう。新しい住宅の建具は下枠はほぼないですが、古い建具なら下枠がある場合も。水漏れ防止かな…?これは外してもらったほうが良かったです。
ちなみに1階の床材はナラ材、2階は減額のため松にしました。松は赤みが増してきますね。
母の回復ももう少し!「今が一番リノベーションしてよかったと実感しているかも」と言っています。
長く住まう家。将来を見据えた家づくり・リノベーションのご参考になれば嬉しいです!
今日もお読みいただき、ありがとうございました。